特集 疾患特異的iPS細胞を用いた病態研究と創薬
1.疾患特異的iPS細胞研究を支える先進技術:血液細胞の分化誘導
丹羽明
1
Akira Niwa
1
1京都大学iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 疾患再現研究分野 助教
pp.337-341
発行日 2018年2月28日
Published Date 2018/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/5201803337
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疾患特異的iPS細胞は,ドナーの遺伝的背景を保持したまま無限の自己複製能と多分化能を有する細胞である。よって,再生医療のみならず,病態解析,創薬など幅広い分野への応用が考えられるが,それらを用いた血液免疫難病の研究には,高品質の血液細胞を分化誘導する技術が欠かせない。iPS細胞からの血液細胞分化については,胚発生でのsignal principleに則り,発生を模倣する様式で段階的に分化誘導する手法が開発されてきた。近年,とくに系の安定性や再現性,効率が改善したことにより,誘導された血液細胞を用いての疾患解析や創薬研究など,興味深い研究成果が多く発表されている。