特集 CAR(キメラ抗原受容体)-T細胞療法の実用化へ向けて
5.固形がんに対するCAR-T細胞療法の研究と開発の現状
佐古田幸美
1
,
玉田耕治
2
Yukimi Sakoda
1
,
Koji Tamada
2
1山口大学大学院医学系研究科 免疫学講座 講師
2山口大学大学院医学系研究科 免疫学講座 教授
pp.979-988
発行日 2017年6月30日
Published Date 2017/6/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201707059
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キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor:CAR)を利用したCAR-T細胞療法は次世代型のがん免疫療法として高い期待を受けており,特に血液悪性腫瘍においては極めて優れた治療効果が多く報告されている。しかし一方で,固形がんに対するCAR-T細胞療法は未だ十分な治療効果を示すことができておらず,さらなる技術改良が必要とされている。克服すべき課題として,固形がんにおける適切な標的分子の同定,がん局所へのCAR-T細胞の遊走と集積,腫瘍微小環境における免疫抑制機構への対策の3つが重要である。本稿では,これらの課題を克服するために取り組まれている最新の技術開発について概説し,固形がんに対するCAR-T細胞療法の将来性について論述する。