特集 最新のがん免疫療法
8.キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子導入T細胞治療の現状と課題
奥山奈美子
2
,
佐古田幸美
1
,
玉田耕治
3
1山口大学大学院医学系研究科免疫学分野
2山口大学大学院医学系研究科免疫学分野
3山口大学大学院医学系研究科免疫学分野 教授
2[日本医科大学付属病院血液内科]
pp.1093-1097
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201604113
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キメラ抗原受容体(CAR)は,腫瘍細胞の表面抗原に結合する一本鎖抗体(scFv)にT細胞の活性化を誘導する細胞内シグナル伝達ドメインを結合させたキメラ蛋白である。CARを用いた遺伝子導入T細胞治療は,現在欧米で複数の臨床試験が実施されており,特に血液系悪性腫瘍ではCD19を標的としたCAR-T細胞療法において,優れた臨床効果が報告されている。しかしながら,CAR-T細胞療法には治療関連有害作用であるon-target off-tumor toxicityやサイトカイン放出症候群(cytokine release syndrome)など,さまざまな問題点も存在している。本稿ではCAR-T細胞療法の世界的な現状と課題について論述する。