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第1土曜特集 CAR-T細胞療法の現在と将来展望
総論
CAR-T細胞療法開発の歴史
History of chimeric antigen receptor therapy
垣見 和宏
1
,
小林 由香利
1
,
長岡 孝治
1
Kazuhiro KAKIMI
1
,
Yukari KOBAYASHI
1
,
Koji NAGAOKA
1
1東京大学医学部附属病院免疫細胞治療学講座
キーワード:
養子免疫細胞療法(ACT)
,
ドナーリンパ球輸注療法(DLI)
,
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法
,
遺伝子改変T細胞
Keyword:
養子免疫細胞療法(ACT)
,
ドナーリンパ球輸注療法(DLI)
,
腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法
,
遺伝子改変T細胞
pp.840-844
発行日 2021年6月5日
Published Date 2021/6/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27710840
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がん免疫治療は,がんに対する免疫応答を増強し治療に活用する治療法である.生体には,過剰な免疫応答による正常組織の破壊を避けるためのプログラムが備わっている.従来のがんワクチン治療や養子免疫細胞療法(ACT)で効果が得られなかったことが示すとおり,抗腫瘍リンパ球を誘導したり増殖させたりすることで治療効果を得ることは容易ではなかった.遺伝子改変技術により改良を加えることによって,T細胞の抗原特異性(腫瘍特異性),エフェクター機能,代謝をリプログラミングしたキメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞を用いた治療は,生体内でも強い抗腫瘍効果を発揮し,がん患者に治癒をもたらすことが可能な治療である.腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法で養われたT細胞の培養増殖技術,T細胞の機能と分化の制御に重要な分子の同定などに,ウイルスベクターを用いたT細胞への遺伝子導入技術の確立が加わり,現在のCAR-T細胞療法の開発に至った歴史を振り返ってみたい.
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