特集 骨髄不全症の最近の進歩
6.発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)におけるクローン性造血とゲノム異常
牧島秀樹
1
Hideki Makishima
1
1京都大学大学院医学研究科 腫瘍生物学講座 講師
pp.259-266
発行日 2017年1月30日
Published Date 2017/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201702069
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発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の主病因は,疑いなくPIGA遺伝子の異常である。その一方で,PNH症例の一部に,染色体異常や遺伝子変異が認められることが報告されている。この点をさらに詳細に検討するため,次世代シーケンスの技術を用い,全コーディング領域にわたる網羅的な変異解析とそのクローンサイズの評価を行った。その結果,高頻度に一症例あたり複数のPIGA変異が認められ,PIGA変異はその他の遺伝子変異の前後どちらのタイミングでも獲得される場合があることが確認された。骨髄悪性腫瘍においてドライバーとされているU2AF1,TET2,JAK2変異などの変異が腫瘍クローンを形成しており,PIGA変異以外の変異がPNHにおけるクローン造血に関与する可能性が推察される。