疾患と検査値の推移
発作性夜間ヘモグロビン尿症
山本 正樹
1
,
西村 純一
1
1大阪大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学
pp.1142-1146
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104086
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疾患・病態の概説
発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria,PNH)は,造血幹細胞のPIGA(phosphatidylinositol glycan class A)遺伝子に後天性の変異が起こり,GPI(glycosyl phosphatidyl inositol)アンカー型蛋白の合成障害をきたし,CD59やCD55といったGPIアンカー型の補体制御因子を欠損するPNH型血球が,補体の活性化に伴い血管内溶血を起こす疾患である.再生不良性貧血を代表とする骨髄不全疾患としばしば合併,相互移行する.PNHはまれな疾患であり,発生頻度は100万人当たり1~2人と推定される.診断時年齢は,わが国では20~60歳代に満遍なく発症し,中央値は45.1歳である1).
PNHの3大症状は,血管内溶血,骨髄不全,血栓症であるが,それぞれの程度とバランスは症例ごとに大きく異なる.また,PNHの溶血は疲労感,腹痛,嚥下障害,勃起不全などのさまざまな症状と関連し,血栓症の要因となったり,腎不全や肝障害などの臓器障害の原因となったりする(図1).
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