特集 成人T細胞白血病(ATL)研究の現状
2.ATLにおける網羅的遺伝子解析
片岡圭亮
1
Keisuke Kataoka
1
1京都大学大学院 医学研究科 腫瘍生物学
pp.499-503
発行日 2016年3月30日
Published Date 2016/3/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201604029
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
ATLのゲノム異常の遺伝学的基盤はこれまでほとんど解明されていなかったが,最近,多数のATL患者における統合的な遺伝子解析により,その全貌が解明された。ATLの遺伝子異常はHTLV-1 Taxと関連する遺伝子と有意に重複しており,TCR/NF-κB経路やT細胞の遊走,免疫監視からの回避に関連する分子に強く集積していた。特に,PLCG1やPRKCB,CARD11,CCR4,CCR7などの機能獲得型変異やCD28融合遺伝子,IKZF2,TP73の遺伝子内欠失などを認めた。これらの結果は,ATLの診断・治療法の発展に有用な示唆を与える。