特集 知っておくべき周産期・新生児領域の遺伝学的検査を展望する
総論
胎児形態異常における網羅的遺伝子解析法の活用
江川 真希子
1
,
山田 祟弘
2
EGAWA Makiko
1
,
YAMADA Takahiro
2
1東京医科歯科大学血管代謝探索講座・遺伝子診療科
2京都大学医学部附属病院遺伝子診療部
pp.645-649
発行日 2022年5月10日
Published Date 2022/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000153
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はじめに
先天性疾患について出生前に検査する方法としては形態学的検査と遺伝学的検査がある。この両者それぞれの進歩はめざましく,両者を組み合わせることで胎児のより正確な情報が得られるようになった。たとえば,胎児に房室中隔欠損症や十二指腸閉鎖などいくつかの所見を認めた場合に羊水検査を実施し,21トリソミーと診断がつくことがある。従来は,しかし胎児に超音波上の所見があっても染色体核型分析で異常がない場合には,超音波所見単独なのか,それとも症候群の一つの所見を見ているのか,胎児予後を考えるうえで必要な情報を得ることはできなかった。すなわち形態学的検査の所見を裏づける遺伝学的検査の選択肢がきわめて限られていたということになる。
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