今月の主題 DNA診断に必要な測定技術
技術解説
ATLのDNA診断
中村 正孝
1
Masataka NAKAMURA
1
1京都大学ウイルス研究所
pp.391-397
発行日 1988年4月15日
Published Date 1988/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913619
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成人T細胞白血病(ATL)は,西南日本に好発するきわめて悪性な白血病である.ヒトレトロウイルス(human T-cell leukemia virus type I:HTLV-I)がATLの原因であることがつきとめられて以来,ATLの診断として,HTLV-Iに対する抗体の有無の検査が主体となってきた.したがって,血清免疫学的検査法が用いられ,実際,凝集法,間接蛍光抗体法などが検査実験室で行われている.一方,遺伝子操作技術のめざましい発展により,種々の疾患を遺伝子レベルで解析することが可能となりつつある.ATLの場合,宿主細胞に組み込まれたHTLV—IのプロウイルスDNAを検索することが即HTLV-Iの感染を証明することになる.本稿では,サザーンハイブリダイゼーション法によるプロウイルスDNAの検出法を詳しく解説し,その問題点にも触れる.
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