特集 成人T細胞白血病(ATL)研究の現状
3.ATL細胞におけるEZH1/2依存的なエピゲノム制御異常
山岸誠
1
,
渡邉俊樹
2
Makoto Yamagishi
1
,
Toshiki Watanabe
2
1東京大学大学院 新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 病態医療科学分野 特任助教
2東京大学大学院 新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 病態医療科学分野 教授
pp.505-512
発行日 2016年3月30日
Published Date 2016/3/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201604035
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ATL細胞の遺伝子発現異常の背景には,ゲノムワイドなエピジェネティック異常(エピゲノム異常)がある。特にEZH1およびEZH2に依存したH3K27me3の蓄積は,HTLV-1感染後の初期から悪性化の後期過程に至るまでの遺伝子制御に対して継続的に影響し,ATL細胞およびHTLV-1感染細胞の特徴を決定する。標的遺伝子にはがん抑制遺伝子のほかに,転写制御因子,microRNA,エピジェネティック因子などが含まれ,さらに複雑な遺伝子発現制御ネットワークを形成する。可逆的なエピゲノム変化は分子標的としても適しており,阻害薬の開発研究がますます加速している。