特集 成人T細胞白血病(ATL)研究の現状
1.HTLV-1感染症の疫学とコホート研究
岩永正子
1
Masako Iwanaga
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 フロンティア生命科学分野 教授
pp.491-498
発行日 2016年3月30日
Published Date 2016/3/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201604021
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約30年前に予測された日本におけるHTLV-1感染者数は将来自然減するという予測に反し,近年,HTLV-1感染症の疫学情報がアップデートされ,HTLV-1非エンデミック地域の都市部においてHTLV-1感染者とATL患者が増加していること,水平感染により毎年約4,000人の新規HTLV-1感染者が発生している可能性など,新たな実態が明らかとなった。また,近年,妊婦におけるHTLV-1スクリーニング検査判定保留の問題,HTLV-1陽性ドナーからの臓器移植後のATL・HAM発症の増加など,新たな問題も提起されている。これらの問題に対処すべく,複数の研究班による調査とコホート研究によって,さらなるHTLV-1感染症の実態解明が進められている。