特集 補体のすべて ~機能から病態まで~
6.腎疾患と補体
木下ゆき子
1
,
香美祥二
2
Yukiko Kinoshita
1
,
Shoji Kagami
2
1徳島大学大学院 医歯薬学研究部 小児科学 助教
2徳島大学大学院 医歯薬学研究部 小児科学 教授
pp.1307-1314
発行日 2015年8月30日
Published Date 2015/8/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201509071
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近年,補体系,特に第二経路の制御異常による腎疾患の存在とその発症機序が明らかとなり,治療法への応用が進んでいる。膜性増殖性腎炎の病変形成機序が免疫複合体関連と補体関連の2つに分類され,抗C5抗体が補体関連の非典型溶血性尿毒症症候群に対するブレイクスルー治療薬として登場するなど,腎疾患における補体系分野の臨床・研究が俄然活気を帯びてきた。一方,第二経路を標的とした腎炎治療は未だ症例経験が十分でなく,第二経路が体に備わっている本質的意義(自然免疫作用,体内不要物除去作用)に留意し,今後長期にわたる観察研究が必要である。