特集 補体のすべて ~機能から病態まで~
5.発作性夜間ヘモグロビン尿症と補体
植田康敬
1
,
西村純一
2
,
木下タロウ
3
Yasutaka Ueda
1
,
Junichi Nishimura
2
,
Taroh Kinoshita
3
1大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科 特任助教
2大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科 講師
3大阪大学微生物病研究所 免疫不全疾患研究分野 教授
pp.1295-1305
発行日 2015年8月30日
Published Date 2015/8/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201509059
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発作性夜間ヘモグロビン尿症は,PIGA変異によりGPIアンカー型タンパク質が欠損した造血幹細胞が,クローン性に拡大した造血幹細胞疾患である。補体による血管内溶血,血栓症,造血不全が3大主徴である。根治には造血幹細胞移植を必要とするが,ドナーの選定,合併症のリスクなど,適応基準は決まっていない。対症療法が中心となるが,抗補体薬であるエクリズマブにより血管内溶血は多くの症例で改善し,生命予後の改善も期待されている。ただし,エクリズマブ不応例も確認されており,新規抗補体薬が開発中である。