特集 Ph陰性骨髄増殖性腫瘍 ~分子病態と治療の最前線~
3.本態性血小板血症の分子病態と治療の進歩
柏木浩和
1
Hirokazu Kashiwagi
1
1大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科学 講師
pp.957-964
発行日 2015年6月30日
Published Date 2015/6/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201507041
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多くの本態性血小板血症(ET)患者のドライバー変異として,JAK2,トロンボポエチン受容体(MPL),カルレティキュリン(CALR)のいずれかに変異が検出される。どの変異においてもJAK-STAT系を恒常的に活性化することがET発症の主因と考えられるが,変異によりその臨床像が異なる。ETにおける血栓および出血症状の発症には血小板だけでなく,他の血球や血管内皮細胞も関与するが,特に出血には血小板数の著増に伴うvon Willebrand因子活性の低下が関与する。ETの治療は血栓および出血の予防を目的になされる。血栓症の高リスク患者においては抗血小板療法とともに,ヒドロキシウレアあるいはアナグレリドにて血小板数の減少を図る。