特集 Ph陰性骨髄増殖性腫瘍 ~分子病態と治療の最前線~
4.原発性骨髄線維症の分子病態と治療の進歩
竹中克斗
1
,
赤司浩一
2
Katsuto Takenaka
1
,
Koichi Akashi
2
1九州大学病院 遺伝子細胞療法部 講師
2九州大学 医学研究院 病態修復内科学 教授
pp.965-975
発行日 2015年6月30日
Published Date 2015/6/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201507049
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原発性骨髄線維症(PMF)は骨髄増殖性腫瘍の1つで,造血幹細胞レベルで生じたJAK2,CALR遺伝子などの変異により骨髄中で巨核球と顆粒球系細胞がクローナルに増殖し,骨髄の広範な線維化,骨硬化をきたす疾患である。PMFは難治性で,個々の症例において予後予測モデルを用いてリスクや長期予後などを考慮し,治療方針を決定する必要がある。新たに使用可能となったJAK2阻害剤は,脾腫や全身症状の改善に有効である。同種造血幹細胞移植は唯一の治癒的治療法であり,約30~50%に長期生存が得られるが,治療関連毒性軽減のため,骨髄非破壊的前治療による移植が注目されている。