特集 巨核球形成・血小板産生のメカニズムとその異常
5.本態性血小板血症の分子病態と治療
日高智徳
1
,
下田和哉
2
Tomonori Hidaka
1
,
Kazuya Shimoda
2
1宮崎大学医学部附属病院 がん診療部 講師
2宮崎大学医学部 消化器血液内科 教授
pp.347-355
発行日 2013年2月28日
Published Date 2013/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/5201303347
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
骨髄増殖性腫瘍である本態性血小板血症(ET)は,造血幹細胞活性を亢進させクローナルな細胞増殖を促すTET2,EZH2などの変異と,サイトカインの細胞内シグナル伝達機構を亢進し細胞の自律増殖を促すJAK2,MPLなどの変異が合わさって発症する。これらの変異はETのみならず真性多血症にもみられるが,JAK2の下流で活性化されるシグナル伝達分子や,JAK2活性化の強さの違いが,増加する細胞系列を決定していると想定されている。ETの生命予後は良好であり,治療目標は合併する血栓症,出血の予防である。高リスク群である年齢≧60歳,あるいは血栓症の既往がある場合は,ハイドロキシウレアとアスピリンの投与を行う。