特集 トロンボポエチン受容体作動薬の臨床応用 ~現況と展望~
2.血液疾患 1)特発性血小板減少性紫斑病
白杉由香理
1
Yukari Shirasugi
1
1東海大学医学部 内科学系 血液腫瘍内科学 准教授
pp.181-191
発行日 2015年1月30日
Published Date 2015/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201502031
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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は,血小板のみの減少があり,他に明らかな血小板減少をきたす疾患や原因などを認めない,後天性の免疫疾患である。近年,ITPにおける血小板減少の機序として,自己抗体による血小板の破壊の亢進に加えて,血小板産生の障害も合併していることが明らかになった。本邦でのITPの治療は,「成人ITP治療の参照ガイド2012年度版」に基づいて行われるが,First line/Second line治療に不応あるいは不耐を示す難治例がおよそ5%存在する。従来,難治例に対するエビデンスの確立した治療はなく,臨床上大きな課題となっていたが,Third line治療としてTPO受容体作動薬が登場し,状況は一変した。本稿ではITP治療とTPO受容体作動薬について,歴史的背景,現状,さらに今後の展望について解説を試みる。