特集 トロンボポエチン受容体作動薬の臨床応用 ~現況と展望~
1.トロンボポエチンとトロンボポエチン受容体の構造と作用
黒木良太
1
,
宮崎洋
2
,
加藤尚志
3
Ryota Kuroki
1
,
Hiroshi Miyazaki
2
,
Takashi Kato
3
1独立行政法人 日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究センター 医療バイオ応用領域 領域長
2独立行政法人 医薬基盤研究所 創薬支援戦略室 東日本統括部 研究コーディネーター
3早稲田大学大学院 先進理工学研究科 生命理工学専攻/教育学部 理学科 生物学 教授
pp.171-180
発行日 2015年1月30日
Published Date 2015/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201502021
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
トロンボポエチンは巨核球前駆細胞に作用し,巨核球の成熟と血小板への分化を促進する液性因子であり,1994年にキリンビール社をはじめ,複数の研究グループによって発見された。ヒトのトロンボポエチンの全長分子は,332のアミノ酸残基からなる糖蛋白質である。アミノ末端側領域は4へリックスバンドル構造を取り,受容体c-Mplと結合する相互作用部位を2カ所持つ。トロンボポエチン1分子と受容体2分子が会合して,細胞内シグナル伝達系の活性化が生じると推定される。トロンボポエチン受容体作動薬ロミプロスチムとエルトロンボパグは,内因性トロンボポエチンとは全く異なる構造を持つが,c-Mplと結合して生物活性を発揮する。