特集 血栓・止血の異常を理解する―広くて深い基礎知識
[Chapter 2] 血栓・止血に関連する疾患
C.出血性疾患
特発性血小板減少性紫斑病
加藤 恒
1
,
柏木 浩和
2
1大阪大学大学院 医学系研究科血液・腫瘍内科学
2大阪大学医学部附属病院 輸血部
キーワード:
特発性血小板減少性紫斑病/免疫性血小板減少症(ITP)
,
幼若血小板
,
トロンボポエチン(TPO)
Keyword:
特発性血小板減少性紫斑病/免疫性血小板減少症(ITP)
,
幼若血小板
,
トロンボポエチン(TPO)
pp.770-775
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_770
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▪本邦の特発性血小板減少性紫斑病/免疫性血小板減少症(ITP)新規発症は,成人では20~40歳の女性と60歳以上の高齢者の頻度が高い.人口高齢化の進行と,比較的予後のよい慢性ITPの症例蓄積のため,今後高齢ITP症例の増加が予想される.
▪ITPの予後に大きく影響する頭蓋内出血の危険因子として,60歳以上の高齢,血小板数1万/μL 以下,血尿があげられ,これらはITPの診療で配慮すべき重要なポイントとなる.
▪ITPを診断する特異的検査はなく,血小板減少をきたす他疾患の除外が中心である.治療反応性不良の場合は,診断の見直しを検討することも必要となる.
▪ITPの治療目標は血小板数の正常化ではなく,正確な診断に基づいて行う適切な治療による出血症状のコントロールである.
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