特集 トロンボポエチン受容体作動薬の臨床応用 ~現況と展望~
2.血液疾患 2)再生不良性貧血に対するトロンボポエチン受容体作動薬の効果
中尾眞二
1
Shinji Nakao
1
1金沢大学 医薬保健研究域 医学系細胞移植学(血液・呼吸器内科)教授
pp.193-199
発行日 2015年1月30日
Published Date 2015/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201502043
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トロンボポエチン受容体作動薬は,難治性再生不良性貧血(aplastic anemia:AA)に対する新たな治療薬として注目を集めている。免疫抑制療法が無効であったAAの約40%に対して,エルトロンボパグが血小板だけでなく,赤血球や好中球の回復をもたらすことが米国の臨床試験で示されたことから,その作用は巨核球系前駆細胞ではなく,造血幹細胞に対するものと考えられる。この知見は,骨髄が荒廃していると考えられてきた難治性AAであっても,造血幹細胞が残存していることを示している。一方,トロンボポエチン受容体作動薬の長期投与は,遺伝子変異を来した幹細胞を活性化させる可能性があるため,その適応は効果と骨髄異形成症候群への移行のリスクを考慮して決める必要がある。