病気のはなし
特発性血小板減少性紫斑病
尾崎 由基男
1
1山梨大学医学部臨床検査医学
pp.594-597
発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102113
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サマリー
特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura,ITP)は,急性または慢性に経過する後天性の血小板減少症であり,皮膚や粘膜の出血を主症状とする疾患である.血小板減少の原因となるような明らかな基礎疾患や遺伝的要因がないため特発性血小板減少性と命名されているが,現在では免疫学的機序によるものと考えられている.赤血球や白血球など他の血球成分には異常なく,また凝固線溶系にも変化はない.予後は比較的よく,ITPによる出血で死亡することは少ない.ITP治療の第一選択は副腎皮質ステロイドであるが,一部にはステロイドに反応しない難治性の症例も存在する.最近になりITP患者に高率にヘリコバクターピロリ菌の感染があり,除菌によりITPが治癒することが明らかになった.
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