特集 フォンウィルブランド病 ~分子基盤から臨床まで~
2.臨 床 3)後天性フォンウィルブランド病 ~自己抗体性~
毛利博
1
Hiroshi Mohri
1
1藤枝市立総合病院 病院長
pp.1199-1206
発行日 2014年7月30日
Published Date 2014/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/52014081199
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後天性フォンウィルブランド病(acquired von Willebrand syndrome:AvWS)は,何らかの基礎疾患を有し,先天性フォンウィルブランド病に類似した病態をとる。その基礎疾患は,リンパ増殖性疾患(37%),骨髄増殖性疾患(18%),循環器疾患(15%),悪性新生物(5%),自己免疫疾患(5%)などがあげられる。AvWS発症の機序は,vWFの産生低下,免疫学的機序,非免疫学的機序などがある。出血症状など臨床症状が比較的乏しいことが多いため,原因不明のAPTT延長などがみられた時には本症を疑い検索することが重要である。また,免疫学的機序で発症した場合には,出血症状が強く,早期に適切な診断・治療が必要となる。vWFに対する抗体の検出にはELISAが用いられる。vWF活性を阻害するインヒビターであれば混和試験が有用である。基礎疾患に対する治療が奏効すれば,多くの場合AvWSの病態は改善する。治療の第一選択は,DDAVPかvWFを含んだ第 VIII 因子製剤である。しかし,DDAVPは先天性vWDに比較して治療効果は乏しく有効期間が短い。免疫学的機序で発症した際には,免疫グロブリンの大量療法が有効である。また,CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブの有効性も注目されている。