特集 フォンウィルブランド病 ~分子基盤から臨床まで~
2.臨 床 2)先天性フォンウィルブランド病
高橋芳右
1
Hoyu Takahashi
1
1新潟県立加茂病院 院長
pp.1185-1197
発行日 2014年7月30日
Published Date 2014/7/30
DOI https://doi.org/10.20837/52014081185
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
血小板粘着反応に極めて重要なvon Willebrand因子(VWF)の量的減少または質的異常をきたす常染色体遺伝性の出血性疾患をvon Willebrand病(VWD)という。VWDはVWFの量的減少症の1型,完全欠損症の3型,質的異常症の2型に分類される。2型VWDには4病型があり,2A型VWDは高分子量VWFマルチマーの欠乏により血小板粘着反応が障害される。2B型VWDは血小板膜GP I bとの過剰反応により高分子量VWFマルチマーが消費性に低下する。2M型VWDはVWFマルチマー構成に異常が現れない機能異常症であり,2N型VWDは第 VIII 因子結合能の障害をきたすものである。また,類縁疾患に血小板型pseudo-VWDがある。多くの遺伝子異常が同定され,発症機序が明らかにされてきた。治療(止血管理)は第 VIII 因子/VWF濃縮製剤による補充療法と内因性VWFの放出を惹起する酢酸デスモプレシン投与が中心となるが,病型により反応性が大きく異なる。治療法の選択の上でも,病型診断が極めて重要である。