特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査
血栓症の検査
4.血管内皮細胞の検査
3)フォンビルブランド因子
藤村 吉博
1
Yoshihiro FUJIMURA
1
1奈良県立医科大学輸血部
pp.186-190
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903120
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はじめに
フォンビルブランド因子(vWF)は,出血時に露出した損傷血管内皮細胞下組織に血小板が粘着,そして凝集する一時止血において両者を接着させる分子糊として働く血漿糖蛋白質である.vWFの遺伝子は第12染色体上にあり,血管内皮細胞および骨髄巨核球で産生され,流血中ではMr275,000の単一サブユニットが,種々の程度に重合したMr0.5×106~20×106の不連続に分布するマルチマー型をとる.また,凝固Ⅷ因子安定化のキャリアー蛋白質として働くことから,血中では通常Ⅷ-vWF複合体として存在する.過去10年間にvWFサブユニット上に局在する各種ドメイン構造(図1)が大まかに把握されるようになり,これに伴ってvWFの先天異常に基づく出血性素因であるvon Willebrand病(vWD)も分子レベルで解明されるようになった1).
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