特集 iPS細胞への期待
4.iPS細胞からの造血幹細胞作出の試み ~テラトーマ形成を介した人工多能性幹細胞からの機能的な造血幹細胞の分化誘導~
鈴木奈穂
1
,
山﨑聡
2
Nao Suzuki
1
,
Satoshi Yamazaki
2
1国立国際医療研究センター研究所 免疫制御研究部
2東京大学医科学研究所 幹細胞治療分野
pp.209-215
発行日 2014年1月30日
Published Date 2014/1/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201402047
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iPS細胞から機能的な造血幹細胞への分化誘導法の確立は,幹細胞を用いた再生医療の実現のために求められる重要な課題であるが,これまで移植可能な造血幹細胞を分化誘導した例は少ない。本研究では,iPS細胞から良性腫瘍であるテラトーマを作製する過程で,造血系サイトカインやストローマ細胞を同時に投与することで,機能的な造血幹細胞の誘導を可能にした。また,テラトーマ中に誘導したiPS細胞由来の造血幹細胞は,生体内の造血幹細胞と同様に骨髄に移行し,全ての血球系へ分化することを証明した。今回開発したin vivoでの分化誘導法は,将来的に患者由来のiPS細胞から造血幹細胞を得る新たな方法として応用が期待される。