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ヒト造血幹細胞の分化
中村 幸夫
1
,
中内 啓光
1
1理化学研究所ライフサイエンス筑波研究センター
キーワード:
造血幹細胞
,
CD34抗原
Keyword:
造血幹細胞
,
CD34抗原
pp.655-657
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900625
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造血幹細胞の分化・増殖には間質細胞やサイトカインなどの複雑な相互作用が関与していると考えられており,その機構の解析にあたっては造血幹細胞を濃縮して取り出すことが有用である.ヒトの血液細胞に対しては多くのモノクローナル抗体が作製されいるが,中でもCD34抗原はヒトの造血幹細胞に特異的に発現していることが知られており1),幹細胞純化にとってきわめて有用である.そこでわれわれはCD34に対するモノクローナル抗体とFACS (fluorescein activated cellsorter)を用いて骨髄血ならびに末梢血から血液幹細胞を濃縮し,その機能を調べる実験系を確立することを試みた.
CD34は分子量約110kDaの糖蛋白で,骨髄細胞の一部と毛細血管内皮細胞の一部に発現しているが,末梢血細胞には発現していないとされていた.CD34に対する抗体を用いてヒトの正常骨髄血ならびに末梢血細胞におけるCD34抗原の発現をFACSで解析した.その結果CD34を強く発現している細胞は骨髄単核球分画の0.40±0.23%であり,また同様な明るさを持つCD34陽性細胞は末梢血中にも0.011±0,002%存在することがわかった(図1).FACSを用いたさらに詳しい解析から,骨髄中のCD34陽性細胞の大部分がHLA-DR抗原陽性であること,また一部のCD34陽性細胞は,CD13,CD33といった骨髄単核球系に分化した細胞に発現している抗原を同時に持っていることが明らかになった2).
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