特集 巨核球形成・血小板産生のメカニズムとその異常
6.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の分子病態と新規治療法
柏木浩和
1
,
冨山佳昭
2
Hirokazu Kashiwagi
1
,
Yoshiaki Tomiyama
2
1大阪大学大学院 医学系研究科 血液・腫瘍内科 講師
2大阪大学医学部附属病院 輸血部 病院教授
pp.357-366
発行日 2013年2月28日
Published Date 2013/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/5201303357
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慢性特発性血小板減少性紫斑病(cITP)は,主に抗血小板自己抗体を介した血小板破壊の亢進と,巨核球分化・成熟障害による血小板産生低下により血小板数が減少する自己免疫疾患である。近年になり,その病態の根幹にあるB細胞およびT細胞の異常,特に制御性T細胞の障害が明らかにされてきており,その分子病態の解析が進みつつある。また,新たな治療法として,トロンボポエチン受容体(TPO-R)作動薬が使用可能となり,極めて高い有効性を示している。このことから,cITPにおける血小板減少の病態に,巨核球成熟・血小板産生障害が重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。