特集 腸内細菌と免疫系の関わり(臨床的な意義)~腸内細菌はどこから来てどこに向かうのか~
Ⅵ.腸内細菌叢とアレルギー
長谷耕二
1
Koji Hase
1
1慶應義塾大学薬学部生化学講座教授
pp.304-310
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201903304
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近年,アレルギー感受性に影響を与える環境因子として腸内細菌が注目されている。腸内細菌の定着は,上皮バリア機能を高めてアレルゲンの侵入を抑制し,炎症やアレルギー反応の抑制に関わる制御性T細胞(Treg細胞)やIgA(immunoglobulin A)産生を誘導する。小児アレルギー患者では腸内細菌叢の構成異常が認められる。また,乳幼児への抗生物質の投与は腸内細菌叢の攪乱を招き,アトピーや喘息の発症リスクを高める。本稿では腸内細菌による免疫制御とアレルギーとの関わりについて最新の知見を基に解説したい。