特集 腸内細菌と免疫系の関わり(臨床的な意義)~腸内細菌はどこから来てどこに向かうのか~
Ⅶ.腸内細菌叢と炎症性腸疾患
水野慎大
1
,
金井隆典
2
Shinta Mizuno
1
,
Takanori Kanai
2
1慶應義塾大学医学部内科学(消化器)専任講師
2慶應義塾大学医学部内科学(消化器)教授
pp.312-318
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201903312
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炎症性腸疾患の病態の中心は腸管免疫と考えられてきたが,次世代シーケンサーによる遺伝子解析技術の進歩によって,腸内細菌叢が腸管免疫に大きな影響を与えていることが明らかになった。炎症性腸疾患の疾患感受性遺伝子と腸内細菌叢には深い関係があり,炎症性腸疾患患者では腸内細菌叢が攪乱されていることが明らかになったことで,腸内細菌叢の正常化が炎症性腸疾患に対する治療戦略の1つとして注目されている。既存治療を凌駕するものではないが,今後のさらなる研究の発展によって,これまでと全く異なる治療戦略の開発が期待されている。