連載 Medical Scope
腸内細菌叢とアレルギー疾患
野村 慧
1
,
石川 大
2
,
永原 章仁
3
1順天堂大学医学部消化器内科
2順天堂大学医学部消化器内科 准教授
3順天堂大学医学部消化器内科学教授
pp.75-79
発行日 2021年3月20日
Published Date 2021/3/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.39.03_0075-0079
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近年,腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)とさまざまな疾患との関連が明らかになってきており,最近の研究で,アレルギー疾患患者の腸内細菌叢の多様度の低下や,特定の細菌の増加や低下するdysbiosisが存在することが明らかになり,腸内細菌叢の成立過程で制御性T細胞の機能に影響を及ぼすことなど,腸内環境がアレルギー発症に関わる免疫メカニズムも解明されてきている。また,便移植療法(FMT)がdysbiosisに関わる疾患に対する根本的治療方法として,幅広く研究が行われている。今後,アレルギー疾患と腸内細菌叢の関連がさらに解明されることで,FMTなどの腸内細菌療法が,アレルギー発症の予防や増悪期の根本的治療法の選択肢として期待される。
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