特集 腸内細菌叢――実際のところ何が重要なのか
3.アレルギーの発症予防を目的とした腸内細菌叢への介入
高増 哲也
1
1神奈川県立こども医療センターアレルギー科
pp.743-748
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003106
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アレルギーは,本来無害な相手に対する免疫反応であり,その主な場となっているのは体の内と外との境界面である皮膚と粘膜である.腸内細菌叢は宿主であるヒトと共生関係にあり,腸管の免疫細胞に作用して免疫反応に影響を及ぼし,腸管上皮に作用してバリア機能にも影響する.腸内細菌叢はアレルギー疾患の発症関連因子であるとはいえるが,腸内細菌叢への介入によりアレルギーを予防できる段階には到達していない.アレルギー疾患関連のガイドラインでは,いずれもエビデンスが不足しており,プロバイオティクス,プレバイオティクスを予防の手段とすることは推奨できないとしている.現在は腸内細菌叢への介入条件が明確ではないが,今後に期待したい.
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