特集 川崎病アップデート ~病因・病態論の推移と展望~
Ⅵ.腸内・咽頭細菌叢 ~発症に常在する病原体が関与するのか~
松原知代
1
Tomoyo Matsubara
1
1獨協医科大学埼玉医療センター小児科教授
pp.1410-1414
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.20837/32018111410
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川崎病(KD)の発症には流行や季節性があることなどの疫学的特徴から感染症の関与が考えられてきた。従来,咽頭ぬぐい液や便を用いての細菌培養により病原体を検出する方法が行われてきたが,未だ病原体は確定していない。近年,次世代シークエンサーなどを用いた分子生物学的手法の進歩により腸内細菌叢および上咽頭細菌叢の解析がすすんだ。特に腸内細菌叢について明らかになっており,炎症性腸疾患,アレルギー疾患,自閉症および糖尿病などでは腸内細菌叢の異常が疾患発症に関与すると報告されている。KDではStreptococcus属が検出されたとの報告があるが,これらがKDの病原体であるかはさらなる検証が必要である。