特集 スギ・ヒノキ花粉症 最新の話題
Ⅲ.スギ・ヒノキ治療法のトピックス
1.初期療法の医療経済学
岡野光博
1
Mitsuhiro Okano
1
1国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科教授
pp.188-195
発行日 2019年1月15日
Published Date 2019/1/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201902188
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スギ・ヒノキ花粉症に対する有効な治療法として症状が増悪する前に治療を開始する初期療法がある。一方,初期療法は早めに治療を開始することから患者の費用負担は増す。医療経済的評価の1つとして増分費用効果比(ICER)がある。効果の評価尺度として症状スコアを,費用の評価尺度として薬剤費を用いたICERを概算できる。この手法では,本格発症後療法としては抗ロイコトリエン薬よりも鼻噴霧用ステロイド薬が医療経済的に有用であった。さらに鼻噴霧用ステロイド薬による初期療法,特に本格飛散の直前に開始する初期療法は,旧来のガイドラインで推奨されていた本格発症後療法に比較しても医療経済的に優位である。わが国では社会保障費および貧困率の増加が問題となっており,このような医療経済的な評価も治療法選択の基準となりうる。