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はじめに
これから,超少子で特に生産年齢人口が減っていき,医療や社会保障全体の財源や人的資源の確保が次第に困難となっていくと考えられる.有限な資源,財源のもと,医療の質を保ち向上させていくことが,ますます明示的に求められるようになる.効率を向上し,格差を是正していかねばならない.医療経済学はここに貢献していく必要がある.
医療経済学とは何か? 経済学をも活用し健康・医療の問題の解決を導くための学問である.医療・健康にアプローチする学問として,そのスコープは広い.具体的には,医療経済学会が定めた「医療経済学会のスコープ」(2019/12/24)(表)1)が参考になる.そこでは,以下がカバーされる.
1.健康とその要因の把握
2.医療の需要
3.医療の供給
4.医療に関わる組織と産業
5.医療の財源と資金の流れ
6.医療の政策・システム
7.さらなる学際的・領域横断的な領域や新しい領域
これらの関係性を(図)に示す.この「医療経済学会のスコープ」(表)は,筆者が医療経済学会の会長(理事長)のときに草案を作り理事会で協議して作成したものである.これは,医療経済の発祥とされる英国ヨーク大学の研究所の設立時の概念枠組み2)の内容もすべて取り込み再構築し,さらには医療経済学の国内・国際学会で議論されている内容も参考に構築したものである.健康の測定,その要因,医療における需要と供給,資金の流れ,組織,産業,提供システム,政策なども入っている.一般に「経済」という語から受ける印象より,広く医療の課題を取り扱っている.
以下に医療経済「学会」のスコープをもって,「医療経済学」のスコープについて,例示をもって説明する.ここでの「医療」は,広義に「介護」や「健康・保健」を含む.
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