食物アレルギー~最近の話題・ガイドラインをふまえて~
Ⅶ.ラテックス-フルーツ症候群・花粉-食物アレルギー症候群
矢上晶子
1
Akiko Yagami
1
1藤田保健衛生大学坂文種報德會病院総合アレルギー科教授
pp.56-64
発行日 2017年12月15日
Published Date 2017/12/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201801056
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近年,抗原解析など科学的な技術の進歩により,交差反応性に基づいて発症する食物アレルギーやそれらに関わる原因抗原が明らかにされるようになった。その代表的な疾患と言えば,ラテックス-フルーツ症候群、そして、花粉-食物アレルギー症候群である。ラテックス-フルーツ症候群は,天然ゴムラテックス製品に含まれるラテックス蛋白抗原と植物性食品に含まれる蛋白抗原との交差反応性に起因しており,ラテックスアレルギー患者への注意喚起が必要な疾患である。また近年,我々が経験する果物アレルギー患者は,多種類の果実に症状が誘発されていることが多く,これは花粉-食物アレルギー症候群と呼ばれ,花粉抗原により感作が成立し,その後,こうした抗原に対して交差反応性を示す蛋白質を含んだ果物や野菜を経口摂取した際に口腔粘膜においてアレルギー症状が誘発される。本稿では,この2疾患について,その発症機序や原因抗原を概説する。