特集 季節性アレルギー性鼻炎と周辺疾患
Ⅲ.抗ヒスタミン薬の効果 薬理学から~PETを用いたヒスタミンH1受容体占拠率評価と運転パフォーマンス試験~
稲見暁惠
1
,
平岡宏太良
1
,
谷内一彦
3
,
田代学
2
Akie Inami
1
,
Kotaro Hiraoka
1
,
Kazuhiko Yanai
3
,
Manabu Tashiro
2
1東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター サイクロトロン核医学研究部
2東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター サイクロトロン核医学研究部教授
3東北大学大学院医学系研究科機能薬理学分野教授/東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター サイクロトロン核医学研究部
pp.36-43
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201601036
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抗ヒスタミン薬を用いたアレルギー治療の際によく経験されるのが鎮静性副作用である。抗ヒスタミン薬の鎮静作用は主観的要素(眠気)と客観的要素(「気づきにくい能力低下:インペアードパフォーマンス)」)に分けられるが,両者の発現は必ずしも一致せず,自動車運転や機械の操作時など,高度な注意や判断を必要とする場面において潜在的リスクをもたらす。薬剤の脳移行性が低く「非鎮静性」とされる抗ヒスタミン薬についても,ポジトロン放出断層法(PET)を用いて脳内のヒスタミンH1受容体占拠率を測定した結果,その脳移行性には相対的な差があることが明らかにされた。今後は,薬物動態や認知能力が健常成人と若干異なる可能性がある小児や高齢者においては特に注意が必要である。