特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅰ.受容体に作用する薬物
2.Gタンパク共役型
1)アミン・アミノ酸受容体
ヒスタミン受容体
福井 裕行
1
Hiroyuki Hukui
1
1徳島大学薬学部薬物学教室
pp.369-372
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901609
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ヒスタミンH1受容体は種々の平滑筋,血管内皮細胞,副腎髄質,心臓,胎盤,中枢神経系に存在し,平滑筋の収縮,毛細血管の収縮による透過性亢進,血管内皮依存性弛緩因子(NO)の遊離,カテコラミン遊離,および中枢における覚醒,食欲調節,平衡感覚調節,神経内分泌調節,痙攣抑制の各作用を仲介することが知られる。H1受容体はロドプシン型受容体であり,Gq/11蛋白,ホスホリパーゼCβと共役する。H1拮抗薬のH1受容体に対する親和性は,ヒスタミンに比べて1,000-10,000倍高い1)。第二世代H1拮抗薬(非鎮静性H1拮抗薬)は第一世代より血液脳関門の透過性が低い2)。さらに,第二世代はH1受容体に対する特異性も高い。また,H1拮抗作用に加えてプロスタノイド,エイコサノイド,PAFの各受容体拮抗作用や肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用を併せもつ抗アレルギー薬も多数開発されている。
H2受容体は胃粘膜壁細胞,心房,平滑筋,リンパ球,中枢神経系に存在する。H2受容体もロドプシン型受容体であるが,GS蛋白,アデニル酸シクラーゼと共役する。H2作動薬のimpro-midineはその効力がヒスタミンに比べて遥かに(10-50倍)強い1)。
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