Japanese
English
特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅰ.レセプターに作用する薬物
ヒスタミン受容体
Agonists and antagonists for histamine receptor subtypes
福井 裕行
1
,
和田 博
1
Hiroyuki Fukui
1
,
Hiroshi Wada
1
1大阪大学医学部第二薬理学教室
pp.375-379
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900227
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
「概説」
1.ヒスタミンH1-受容体とそれに作用する薬物
H1-受容体は平滑筋(血管,小腸,気道,子宮,輸精管,膀胱など),血管内皮細胞,副腎髄質,心臓,ある種の血球細胞,中枢神経系に存在し,平滑筋の収縮,終静脈の収縮による毛細血管の透過性亢進,血管内皮依存性弛緩因子の遊離,カテコラミン遊離などのH1-受容体を介した作用が知られる1-4)。ホスホリパーゼCと協調し,H1-受容体の刺激によりイノシトールリン酸の蓄積が起こり,細胞内のCa2+濃度の上昇が引き起こされる2,3)。H1-作動薬はヒスタミンの数%の効力しかなく,また,特異性もH1-拮抗薬に比べて低い4)。H1-拮抗薬は多数開発され,ethanolamine型,ethylenediamine型,alkylamine型,phenothiazine型,piperazine型およびその他に分類される4,5)。H1-受容体に対する親和性はヒスタミンに比べて1,000~10,000倍高い。H1-拮抗薬は種々のアレルギー性疾患(蕁麻疹,アレルギー性鼻炎,花粉症)の治療に用いられる。H1―拮抗薬の副作用として鎮静作用(眠気)がよく知られているが,非鎮静性H1-拮抗薬が多数開発されている6)。H1-受容体の標識には[3H]mepyramine(pyliramine)結合試験が用いられる7)。
Copyright © 1991, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.