原著
花粉症に伴う副鼻腔炎の病態とクラリスロマイシン併用療法の可能性
太田伸男
1
,
鈴木祐輔
1
,
倉上和也
1
,
古川孝俊
1
,
窪田俊憲
1
,
青柳優
1
,
欠畑誠治
1
Nobuo Ohta
1
,
Yusuke Suzuki
1
,
Kazuya Kurakami
1
,
Takatoshi Furukawa
1
,
Toshinori Kubota
1
,
Masaru Aoyagi
1
,
Seiji Kakehata
1
1山形大学医学部情報構造統御学講座耳鼻咽喉頭頸部外科分野
キーワード:
花粉症
,
副鼻腔炎
,
クラリスロマイシン
,
IL-8
Keyword:
花粉症
,
副鼻腔炎
,
クラリスロマイシン
,
IL-8
pp.1848-1854
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201312096
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近年,アレルギー性鼻炎の増加に伴って,副鼻腔陰影を有する症例も増加している。実際の実地医療において,アレルギー性鼻炎に合併する副鼻腔炎は,〈1〉 副鼻腔のアレルギー性炎症,〈2〉 自然口閉塞による二次的な粘膜腫脹,〈3〉 感染による炎症,などの多種多様な病態が考えられるが,その実態を把握し,その病態毎に区別し治療方針を決定することは難しいのが現状である。そこで,今回,副鼻腔陰影を伴う花粉症患者において,鼻腔洗浄液のケミカルメディエーターを測定することにより,副鼻腔陰影の発症機序を明らかにするとともに,マクロライドの併用効果を検討した。その結果,今回の花粉症に合併した副鼻腔陰影は,好酸球性炎症よりむしろ感染性炎症が原因となっている可能性が示唆された。また,その治療においては,抗アレルギー薬とクラリスロマイシンの併用療法により,副鼻腔陰影の消失のみならず,各症状および所見への効果が確認された。このことより,副鼻腔炎を合併する花粉症においては,特に膿性鼻汁など所見から感染が疑われるような場合や,副鼻腔陰影が強い場合,抗アレルギー薬が無効な場合にはマクロライドの併用療法は,試みるべき療法の1つと判断された。