特集 薬物アレルギー
V.スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)および中毒性表皮壊死症(TEN)
池澤善郎
1
Zenro Ikezawa
1
1国際医療福祉大学熱海病院皮膚科教授
pp.1803-1812
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201312051
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重症薬疹は,一般に 〈1〉 スティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS),〈2〉 中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN),〈3〉 薬剤過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS),〈4〉 急性汎発性発疹性膿疱症(acute generalized exanthematous pustulosis:AGEP)の4つの臨床病型を指すが,これらの4型に該当しない症例でも,a.発熱,白血球増多ないし減少,単核球増多,異型リンパ球増多,肝・腎・肺・造血組織等の多臓器障害,リンパ節腫大を併発し,b.病勢の進行・進展を抑えるために中等用量から高用量のステロイドの全身投与,パルス・ミニパルス療法などを必要とし(ステロイド要求性),c.多臓器不全の原因となる細菌感染・敗血症(グラム陰性桿菌・黄色ブドウ菌),ウイルス血症を併発する感染症の合併が認められるなどの3点を満たす場合,臨床病型に関係なく,重症薬疹として対応する必要がある。ここでは,重症薬疹の中でも特に皮膚表皮細胞や口唇・眼・陰部などの粘膜上皮の広範なアポトーシスが生じ,時に致死的な経過を辿ることがある最重症型薬疹のSJSとTENに焦点を当てて解説する。