特集 蕁麻疹の病態と治療 アップデート
III.加水分解コムギ含有石鹸によるコムギアレルギーの疫学と社会的意義
矢上晶子
1
,
松永佳世子
2
Akiko Yagami
1
,
Kayoko Matsunaga
2
1藤田保健衛生大学医学部皮膚科学 准教授
2藤田保健衛生大学医学部皮膚科学 教授
pp.224-232
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201302026
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近年本邦において,ある特定の加水分解コムギ末を含有した石鹸を使用した者が小麦摂取による即時型アレルギーを呈する症例が急増した。本疾患は,加水分解コムギ末(グルパール19S)を含む(旧)茶のしずく石鹸((株)悠香)で洗顔することによって,グルパール19Sが経皮・経粘膜的に吸収され,それまでコムギアレルギーのなかった人にグルパール19Sに対する特異IgE抗体を産生し,これと交差反応する小麦摂取時にアナフィラキシー等の即時型アレルギーを引き起した。この一連の事象は,“経皮・経粘膜的に感作された食物アレルギー”として注目されるのみでなく,香粧品における即時型アレルギーの安全性評価の確立が急務であることを我々に気づかせた。今後,社会的な取り組みが進み,化粧品の安全性が確保されることを期待したい。