特集 外用製品による皮膚病
臨床例
長期間観察できた加水分解コムギ含有石鹸による小麦アレルギー
森田 栄伸
1
,
千貫 祐子
1島根大学 医学部皮膚科学教室
キーワード:
IgE
,
小麦
,
石けん
,
タンパク質加水分解物
,
皮膚テスト
,
過敏症-小麦
Keyword:
Immunoglobulin E
,
Protein Hydrolysates
,
Skin Tests
,
Soaps
,
Triticum
,
Wheat Hypersensitivity
pp.67-70
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2015110258
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<症例のポイント>自験例は、小麦製品摂取後1時間ほどして発現するくしゃみ、鼻汁、眼の痒み等の粘膜アレルギー症状と両側上下眼瞼の腫脹が繰り返しみられた症例である。パスタ、お好み焼き、カレーライスの摂取で誘発され、とくに運動負荷なく症状がみられた。運動誘発のエピソードもみられた。小麦とパンのプリックテストが陽性、血清中抗原特異的IgE検査にて小麦とグルテンが陽性であり、小麦アレルギーと診断した。しかし、ω-5グリアジンに対するIgEは検出されず、非典型的な検査結果であった。小麦アレルギーの診断後3年を経過して加水分解コムギ含有石鹸を使用していることが判明し、加水分解コムギを用いた検査にて加水分解コムギアレルギー仮硫る小麦アレルギーと診断した。加水分解コムギ含有石鹸の使用中止と小麦製品の摂取を禁止したところ、小麦とグルテンの抗体価は著明に減少したが、加水分解コムギ含有石鹸中止後4年経過してもIgE抗体価は完全には消失せず、現在も小麦製品を摂取できていない。
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