原著
ムスカリン受容体を介する気道平滑筋収縮に対する長時間作用性抗コリン薬,およびβ2刺激薬の抑制効果
久米裕昭
1
,
岩永賢司
1
,
忌部周
1
,
佐藤隆司
1
,
西山理
1
,
東本有司
1
,
中島宏和
1
,
東田有智
1
Hiroaki Kume
1
,
Takashi Iwanaga
1
,
Shu Imbe
1
,
Ryuji Sato
1
,
Osamu Nishiyama
1
,
Yuji Higashimoto
1
,
Hirokazu Nakajima
1
,
Yuji Tohda
1
1近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科
キーワード:
慢性閉塞性肺疾患
,
β2アドレナリン受容体
,
固有活性
,
ストロングパーシャルアゴニスト
,
ホルモテロール
,
チオトロピウム
Keyword:
慢性閉塞性肺疾患
,
β2アドレナリン受容体
,
固有活性
,
ストロングパーシャルアゴニスト
,
ホルモテロール
,
チオトロピウム
pp.766-775
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201305104
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最近,慢性閉塞性肺疾患(COPD)における気管支拡張薬として長時間作用性β2刺激薬(LABA)の有効性が臨床的に示されている。この研究では,臨床研究の結果を検証するため,ムスカリン受容体を介する(コリン作動性)気道平滑筋収縮に対する弛緩作用を調べた。チオトロピウム(長時間作用性抗コリン薬〔LAMA〕)は0.3~10μM メサコリン(MCh,ムスカリン受容体刺激薬)収縮にNishiyama Osamu対し濃度依存性に弛緩効果を現し,すべての実験条件下で完全弛緩を生じた。一方,ホルモテロール,インダカテロールなどのLABAでは,10μM MCh収縮に対し完全弛緩は生じなかったが,すべての実験条件下でホルモテロールのEC50値が最も低かった。それぞれの薬物の臨床投与量の違いを考慮してEC50値を再評価しても,すべての実験条件下でチオトロピウムのEC50値が最も高かった。ムスカリン受容体刺激に由来した気道平滑筋に対し,ホルモテロール,インダカテロールは既存のLAMAと比べ勝るとも劣らない拮抗作用を有している。以上より,これらのLABAはCOPDの治療にきわめて効果的である可能性が推察される。