特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅰ.受容体に作用する薬物
2.Gタンパク共役型
1)アミン・アミノ酸受容体
ムスカリン受容体
福崎 厚
1
,
芳賀 達也
1
Atsushi Fukuzaki
1
,
Tatsuya Haga
1
1東京大学大学院医学系研究科神経生化学教室
pp.373-376
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901610
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ムスカリン受容体には5種の分子種(m1,m2,m3,m4,m5)が同定されており,それぞれが薬理学的に分類された5種のサブタイプ(M1,M2,M3,M4,M5)に対応する。いずれも7回膜貫通構造を持つG蛋白質共役型受容体であり,M1,M3,M5はGq共役型,M2,M4はGi共役型である1)。ムスカリン受容体は中枢神経(大脳皮質,海馬,小脳,線条体ほか),自律神経節および副交感神経終末,副交感神経支配臓器(心臓,内臓平滑筋,各種分泌腺ほか)など生体内に広く分布する2)。生体内リガンドはアセチルコリン(ACh)であり,AChのアミンは第3膜貫通領域Asp147の負電荷と相互作用するものと推定されている3)。ムスカリン受容体サブタイプ選択的アンタゴニストとして,従来よりpirenzepine(M1),AF-DX 116(M2),p-HHSiD(M3)などが知られるが4),最近ヘビ毒由来のきわめてサブタイプ選択的なリガンドが報告されている5)。また,ムスカリン受容体のアゴニスト結合部位とは別の部位(アロステリック部位)に結合して,特定のサブタイプとリガンドの結合に促進的または抑制的(正または負のアロステリック効果)に働く化合物が知られる6,7)。
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