Japanese
English
特集 気管支喘息と受容体
ムスカリン受容体
Muscarinic Receptors in Bronchial Asthma
塩谷 隆信
1
Takanobu Shioya
1
1秋田大学医療技術短期大学部理学療法学科
1Department of Physical Therapy, Akita University College of Allied Medical Science
pp.1187-1192
発行日 1997年12月15日
Published Date 1997/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910077
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
ムスカリンは,あかはいとり(Amantia mus—caria)をはじめとする多くの毒茸中に含まれるアルカロイドで,茸中毒の原因物質のひとつであり,これがムスカリン受容体の語源となっている1).
肺の自律神経支配は交感神経系と副交感神経系との2つよりなり,両者は気管支平滑筋に対し陰陽的に相反する効果を及ぼし気管支のトーヌスを調節している2,3).副交感神経節後線維末端から放出されるアセチルコリン(acetylcholine;ACh)が平滑筋臓器あるいは分泌腺などでムスカリン受容体に作用しその効果を発揮する.
気管支喘息の原因は多彩であり,その原因のひとつとして自律神経異常説が古くから提唱されている.本稿では気管支喘息の病態生理に関与するムスカリン受容体について最新の知見をふまえて概説し,ムスカリン受容体を介しての気管支喘息治療の可能性について今後の展望を述べてみたい.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.