特集 蕁麻疹の病態と治療 アップデート
I.蕁麻疹と感染症の関わり
塩原哲夫
1
Tetsuo Shiohara
1
1杏林大学医学部皮膚科学教室教授
pp.211-215
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201302013
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蕁麻疹,ことに急性蕁麻疹の多くはウイルス感染に伴って生じ,アレルギー機序によるものの頻度は少ない。そのような考えは,蕁麻疹を起こす主役である肥満細胞の役割が感染防御にあることが明らかになったことと軌を一にする。肥満細胞は,Toll-like receptor(TCR)を介した刺激や,抗原抗体複合体などの刺激により活性化されるため,(ウイルス)感染後の様々な時期に蕁麻疹は生ずる。EBウイルス,サイトメガロウイルス,パルボウイルスB19,HIVウイルスなどに伴い蕁麻疹を生ずるが,その診断には適切なタイミングでの抗体検査が必須である。ウイルス感染に伴う蕁麻疹の治療としては,なるべくステロイドの全身投与は避けるべきである。詳細な問診と臨床症状,検査所見から,感染ウイルスを同定することは容易な作業ではない。