特集 内科医に求められる他科の知識―専門家が伝えるDo/Don’t
第6章 皮膚科
蕁麻疹
秀 道広
1
1広島大学大学院医系科学研究科皮膚科学
pp.1924-1927
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika124_1924
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蕁麻疹とは
蕁麻疹とは,紅斑を伴う一過性,限局性の浮腫(膨疹)が病的に出没する疾患である.通常の蕁麻疹に合併して,あるいは単独に皮膚ないし粘膜の深部を中心とした限局性の浮腫が出没する場合はとくに血管性浮腫と呼ぶ1).これらはごくありふれた疾患で,基本的には何らかの原因で皮膚マスト細胞が活性化され,遊離されたヒスタミンをはじめとするメディエータが血管の拡張と血症透過性亢進を起こすことにより生じる.通常,知覚神経を刺激することによる痒みを伴うが,浮腫の主体が皮膚,粘膜の深部にある場合は痒みを生じにくく,また病型によっては痛みを感じることもある.その病態としてⅠ型アレルギーが広く知られているが,蕁麻疹全体におけるⅠ型アレルギーによる症例の割合は少なく,多くの集計で数%以内と報告されている.また,その病態には未知の部分が多く,症状の現れ方,治療の内容も症例により大きな違いがある.そのため,蕁麻疹の診療では正しい病型診断と重症度の評価が必要であり,個々の患者に応じた治療を行うことが大切である.
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