特集 新しい医療を拓くメカノバイオロジー
3.メカノセンサーを標的とした心臓の新規治療法の可能性
古川哲史
1
1東京医科歯科大学難治疾患研究所生体情報薬理学分野・教授
pp.1441-1444
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201706069
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
心臓は24時間365日,収縮-拡張のメカノ刺激に曝されているユニークな器官であり,メカノ刺激応答が特に重要な器官の一つと言える。これを反映して,多くのメカノ刺激応答分子が同定されている。心不全治療の第1選択薬の標的分子,アンジオテンシン変換酵素・1型アンジオテンシンII受容体もメカノ刺激応答分子である。心不全は未だに予後不良の疾患であり,新たなメカニズムの治療法の確立が望まれる。心臓で同定された新たなメカノ刺激応答分子であるAJP,TRP,Piezo,Pannexinなどは,新メカニズム基盤の心疾患治療法の有望な標的の一つと考えられる。