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特集 性感染症におけるup to date
3.注目すべき性感染症原因微生物であるマイコプラズマ・ジェニタリウムにおけるup to date
Mycoplasma genitalium infection as a notable microorganism of sexually transmitted infection-up to data
濵砂良一
1
Hamasuna Ryoichi
1
1国家公務員共済組合連合会新小倉病院泌尿器科 部長/産業医科大学泌尿器科 准教授
キーワード:
Mycoplasma genitalium
,
薬剤耐性
,
マクロライド耐性
Keyword:
Mycoplasma genitalium
,
薬剤耐性
,
マクロライド耐性
pp.47-56
発行日 2017年11月25日
Published Date 2017/11/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201712047
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Mycoplasma genitaliumは,男性の尿道炎,女性の子宮頸管炎の原因微生物である。Mollicutes網に属し,自己増殖が可能な最少の細菌である。細胞壁をもたず,その構成成分であるペプチドグリカンを合成しない。臨床検体からの培養はきわめて困難であり,検出は核酸増幅法による。しかし,わが国ではM. genitalium感染症に対する検査・治療に対して保険適用がないため,自費検査または研究目的での検出が行われている。マクロライド系抗菌薬やニューキノロン薬の中ではモキシフロキサシンやシタフロキサシンがM. genitaliumに対して強い抗菌活性をもっていた。しかし,マクロライド耐性株が分離され,その耐性メカニズムはマクロライドの標的となる23S rRNAの遺伝子変異による。現在,わが国ではマクロライド耐性の割合が約40%以上と考えられている。さらに,モキシフロキサシンやシタフロキサシンにも耐性を示す株が分離されており,その割合は増加している。キノロン耐性のメカニズムは完全には解析されていない。今後,これらの耐性M. genitaliumはさらに増加することが予想され,難治性尿道炎症例の増加が危惧される。