Japanese
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特集 “One Health時代”の耐性菌対策・研究
9.ファージセラピーの可能性と問題点
Prospective and problem of phage therapy
丹治保典
1
Tanji Yasunori
1
1東京工業大学生命理工学院 教授
キーワード:
バクテリオファージ
,
ファージセラピー
,
大腸菌O157:H7
,
黄色ブドウ球菌
,
バイオフロック
Keyword:
バクテリオファージ
,
ファージセラピー
,
大腸菌O157:H7
,
黄色ブドウ球菌
,
バイオフロック
pp.100-110
発行日 2017年4月25日
Published Date 2017/4/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201705100
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ファージは宿主がいる環境には普遍に存在し,宿主の異常増殖を抑制する。この特性をうまく利用すると,病原菌を宿主とするファージにより感染症を治療(ファージセラピー)できる可能性がある。一方で解決すべき問題も多い。大腸菌O157:H7特異的ファージをO157に添加したところ,ファージ耐性O157がすぐに現れた。しかし,レセプターを異にする複数のファージ混合液(カクテル)を用いることで耐性化が抑制できた。黄色ブドウ球菌とそのファージを用いて回分培養を何度もくり返したところ,ファージと宿主はともに変化(進化)した。IgG(免疫グロブリンG)依存的黄色ブドウ球菌の凝集はファージに対する感受性を低下させ,ファージ耐性化を速めた。